年齢52歳。男性。とある市の大会で、常に上位に入るウィークエンドプレーヤー。その方は、私の顔を見るなり言いました。
衝動的に言い返したい気持ちが生まれました。ですが、年齢的には先輩にあたる方。「テニスは、結局・・・の一言では片付けられないスポーツです!」という言葉は、“グッ”と喉の奥に押し込みました。
ただ、その方の言わんとしていることも理解はできます。
「攻撃一辺倒ではダメ。攻めも必要だが、守りも大切。そして、一般的に攻撃力の弱いウィ―クエンドプレーヤーは、守る力が強いと有利に働くことが多い!」
この様な趣旨を、私に伝えたかったのでしょう。
この論理は、確かにあります。攻めと守りは表裏一体。攻め上手な方でも、裏側の“守り”が弱いことで、結果を出せないこともあるからです。
先日も、「瞬間直し(R)実践会」の会員様のお一人が、お電話で教えてくださいました。
「若手の実力派プレーヤーに勝ちまくっています。彼らは、攻めは強いのですが、守りが今一。そこをついたら、一気に勝てるようになってしまったのです。」
さらに言えば・・・・・
錦織圭選手は、このように発言しています。
「世界トップ選手は攻撃力が凄い!」と多くの方が思っている所、錦織圭選手は間逆の“ディフェンス力”を高評価。これには、「さすがだなぁ!」と思うのと同時に、「この感覚は、戦(いくさ)に置き換えればわかりやすい!」とも感じました。
戦は、相手を攻めて陥落させることを目指します。ただ、敵も攻めてきますので、自軍の城をしっかり守ることも重要。つまり、攻守のバランスが取れていなければ、いくら攻めが凄くても、負けてしまうわけです。
そして、この論理を感覚的に悟っているのが、世界トッププレーヤー達。しっかりと“自分の陣地”を守りながらも、攻撃に出向く。このバランスが上手く取れているからこそ、常に勝利を手にしてきています。あなたも・・・・・
こんな思いを、“守り”の固い相手と対戦した時、お感じなったことがあるのではないでしょうか?
そうです。上手い人の奥深い強さの秘訣である、“守り”。テニス通であるあなたであれば、その真の強さをご存知のはずです。
ただ・・・・・ “守り”というと、誤解される方も少なからずいます。「ナダル選手のような、もの凄いフィジカル能力が必要なのでは?」 こんな想像をされるのです。
確かに、ナダル選手のようなフィジカル能力があれば最高でしょう。ですが、それほど凄いフィジカル能力を身につけることが、今から出来るでしょうか? 例え身につけられたとしても、今から数十年間のトレーニングは最低限必要になるのでは?
ということは、ナダル選手のようなフィジカル能力を身につけるのは、目指す気概は必要ながら、近々に身につけることは不可能なわけです。